6/29のTBSで放映された「日立世界ふしぎ発見!」で、ポンペイ新発見の落書きが紹介されました。番組自体はとっちらかった内容で今一でしたが、ヴェスビオ山噴火の日時に関しては、実は昨年10月のポンペイ考古遺物管理事務所の公表以来、坂井聰氏が注目されていた件です。私は氏から第一報をいただいていたのですが、不覚にもこの番組まで失念しておりました。
しかも、今回の落書きに関しては、最初の公表時の読み(こちらのほうがウェブで拡散)と、その後読み替えがあったようで、そのあたりを含めて近々にまず坂井氏の第一報を掲載したいと思ってます。これは2016年3月に出版された我々の『モノとヒトの新史料学』勉誠出版に氏にお書き頂いた論考「ポンペイはいつ埋没したのか:噴火の日付をめぐる論叢」の続編という意味合いがあります。【坂井氏による第一報が、2019/7/23にHPのほうに掲載されましたので、ご一読ください】
【追伸】その前座として、今回の発掘地点の情報を検討しておきます。2018年の発掘地点は、pompeiiinpicturesの情報から、第5地区の第2、3、6、7街区で、2018年に続々公表された新発掘はいずれもこの箇所からと思われます。
その中で、V.3の「Casa con Giardino 」なる場所から、埋没後に貴重品の盗掘者たちが跳梁跋扈していて、少なくとも6体の遺体から金品を奪い取ったあとの骸骨が積み重なって出てきた部屋が、2018年10月に公表されてます。例の落書きもどうやらここから出現したようです。Five skeletons found at Pompeiihttps://www.pompeionline.net/edifici/regione-v/casa-con-giardino;https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2018/10/five-skeletons-found-at-pompeii.html#cdq63TI4GsPMS9xV.97
なお、この区画で発掘された素晴らしいフレスコ画を綺麗な画像で紹介している記事を2つ紹介しておきます。やたらプリアポス画が注目されてますが (^^ゞ
以下は、レダと白鳥図。 https://edition.cnn.com/style/article/leda-and-the-swan-pompeii-mural/index.html ;そこから今年になって今度はナルキッソスのフレスコ画が公表されました。往年の生活空間の華やかさ、なんともすごいですね!:https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2019/02/stunning-narcissus-fresco-at-pompeii.html#TCl7pW1523lc3RAZ.97;https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2019/03/the-thermopolium-of-pompeiis-regio-v.html#boIj2XrUcA3WX2eV.97
そして、飛んできた石にあたって頭部の飛んだ骸骨。これの出土場所もここだったのかもしれません。 https://www.bbc.com/news/world-europe-44303247
これには後追い記事も。なんだかビックリして大口開けての死に顔にみえます: https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2018/07/ancient-pompeii-victim-not-crushed-by.html#rqH59eTFZPPorzPz.97
これらもこの発掘地点でしょう。https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2018/10/enchanted-garden-discovered-in-pompeii.html#9qqWwBQXKpF5q2W0.97; https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2018/08/pompeii-new-discoveries-brilliant.html#dpBbzmxrU5gojsTC.97;https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2018/06/new-findings-in-pompeii-paint-vivid.html#mejZ1Hq8VGzR7zh4.97;https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2018/05/spectacular-wall-frescoes-discovered-at.html#zsbD3fw5wd3z11gm.97; https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2018/05/alley-of-balconies-uncovered-at-pompeii.html#0fqtYGr82ms2m1GM.97
これまで遺跡で、発掘以来200年を経た色あせた壁面ばかり見ていた身からすると、その鮮やかさには目を奪われます。どうしても博物館での展示は生活感ないので、現地保存の重要性とともに、現地保存していると「発掘は遺跡破壊」という思いにかられますが、往年の保存技術よりは数段進んでいることを期待せざるをえません。
【追伸2】今回の落書きの周囲の状況が現段階で一番よく分かるのは以下かと。
https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2018/10/charcoal-inscrip tion-points-to-date.html#6Jw2qeBrgFZXhO0h.97
【追伸3】この区画でもすでに盗掘が! https://www.discoverychannel.jp/0000042029/
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