いつもウェブ・オークションを見ているClassical Numismatic Groupだが、この1/14-15にNew Yorkで第48回国際競売が、出品1453ロット、売買予定総額780万ドルで開催予定とのメールが届いた(https://www.cngcoins.com)。そのカタログをみていたら、とんでもない出物に出くわした。それが326/7年コンスタンティノポリス造幣所第一工房打刻の一品で、表面に若々しい皇帝(実際には当時54,5歳)の右向きの横顔と周縁に「CONSTAN TINVS AVG」、裏面に、先端に「キー・ロー」の意匠の竿頭をいただき、三つのメダイ(当時の3皇帝、正帝コンスタンティヌス1世、副帝クリスプス、副帝コンスタンティヌス2世の肖像、という説あり)が描かれた軍旗(ラバルムlabarum:私は軍団旗の類いではなく、皇帝旗と考えている)を装着した旗竿の石鎚が蛇を刺し貫いているデザインと、「SPES PVBLIC[A]」(国家的期待)が打刻されたものである(一行下のAは第一工房の刻印と読む)。
そのコインとその周辺に関する詳細は生きていたらいずれ多少立ち入って触れる機会を持ちたいと思っているテーマであるが、とにかく、コンスタンティヌス研究者にとってはまさに垂涎の的の記念貨幣である。もちろん私もオークションに出品されたのを見たのは今回初見で、出品者側の評価額3000ドルとなっているが、この額で決着しそうもない気がする。日本のどこかに一つはあってほしい品なので、本当なら暮れのボーナスをはたいてでもチャレンジしたいところだが、年金生活者で競売に参加する余裕がないのが残念至極。
【追記】しょっぱな1800ドルをつけた人がいたが、その後どうなっているかと先ほどみたら、なんとまだ15日以上のオークション期間を残して「Lot Withdrawn」の表示がっ。こういう場合どうなっているのか詳らかでないが、博物館とかの大口が介入して即金で落としたのだろうか。まあそうされても仕方のない一品ではある。私人の死蔵よりはいいのは確かである。
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