CNG(Classical Numismatic Group)のウェブ・オークションに、偽造貨幣とおぼしき「金型」一歩手前のものが出品された(https://auctions.cngcoins.com/lots/view/4-2WB2WA/antoninus-pius-ad-138-161-forgers-pb-impression-or-die-for-a-sestertius-35mm-5360-g-12h-copying-a-rome-mint-issue-of-ad-161)。以前、2019/8/26にも別件での既報があったので、今回はまあよりちゃちではあるが、約二年ぶりである。ちなみにオークションは現地時間で7/7の正午、手数料が落札価の18%かかる。
本当は個人的に所有したいところだが現段階でも実質200ドルを超えているので、最終的には300ドルが予想される。よって私のようなビンボーな年金生活者は写真だけで満足せざるをえない。
出品者のコメントによると、素材は鉛。アントニヌス・ピウス死亡時の161年ローマ造幣所打刻のものを真似たもので(RIC III, 1226)、貨幣の裏面のみ。刻印は「神格化CONSECRATIO」、デザインは四層の葬儀用火葬場の上に四頭立て戦車が正面向き、下部刻銘部には「元老院決議」SC(senatus consultum)。ただ、この偽造金型は鉛製なので、それを金型として打刻するには軟らかすぎ、おそらく本物の貨幣を鉛に打ち付けての凹型印影の試作段階のものと思われる。ここまでなら私でもできるだろう。まあその程度。
参考事例として以下、本物を示す。表面には故人皇帝アントニヌス・ピウスの右向き肖像、刻印は「神帝Antoninus」DIVVS ANTONINVS。大きさ33.1×34.9mm、重さ28.47g。
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