シエナ近郊のサン・カッチャーノ・デイ・バニSAN CASCIANO DEI BAGNIにある古代の神聖な浴場の発掘調査で、極めて状態の良い24体のブロンズ像群が発見されました。紀元前2世紀から紀元1世紀にかけてのもので、古代イタリアで発見されたブロンズ像の収蔵品としては最大級。これは、1972年にRiace海岸で発見された紀元前5世紀のブロンズ像に匹敵するほど重要な発見だと、マッシモ・オザンナ美術館総監督官は述べている。
ニッチJの碑文(CIL X 809):Romulus Martis / [f]ilius urbem Romam / [condi]dit et regnavit annos / duodequadraginta isque / primus dux duce hostium / Acrone rege Caeninensium / interfecto spolia opi[ma] / Iovi Feretrio consecra[vit] / receptusque in deoru[m] / numerum Quirinu[s] / appellatu[s est]
[参考図版]Pompeii, VI.8.20「L.ウェラニウス・ヒュプサエウスの洗濯・縮絨工房」Fullonica di L.Veranius Hypsaeus 出土の角柱に描かれたフレスコ画。正面上段に、布を脱色するため籐製のかごの中で硫黄を焚く段取の絵に聖鳥のふくろうが描かれている。現在は国立ナポリ考古学博物館所蔵。このフレスコ画についていずれ多少論じたいと思っている。そのキモは、この下段のフレスコ画なので、先のない身でもあり、おまけついでに併せてアップしておこう。
(4)アエネアス一族を皮肉って笑い飛ばすフレスコ画:Pompeii, VI.17 Insula Occidentalis, Diego Cuomo所有農地masseriaの遺跡の室内から1760年出土(スタビアエ出土としている叙述があるのは、以下の【ポンペイ小史】末尾参照)
「脱出」フレスコ画での露骨な二つのパロディー:
巨大男根をぶら下げた犬頭猿人chynocephalus(頭が犬、体が猿、足は人間):それが、自制心のない非理性的存在をイメージすると同時に、「犬」(canis) からの連想で、ウェルギリウス『アエネーイス』冒頭の一句「私は歌う」(cano)から「汝は歌う」(canis) の、かなり高度な駄洒落ともなっている。ちなみに、カエサルもアウグストゥスも、同性愛を含む性的不行跡については民衆の揶揄の対象だった(スエトニウス『ローマ皇帝伝』(上),岩波文庫:Suetonius, De Vita Caesarum, I.49-52;II, 65-71) 。
父アンキセスは、頭にヴェールをかぶり(礼拝時の所作か)、家の守護神像の代わりにサイコロを振る箱を持っている:賭博好きなアウグストゥスへの皮肉(Suetonius, De Vita Caesarum, II, 71.2-4)であると同時に、賭け事で高い賽の目「アタリ」をVenus(ユリウス家の祖神)といい、低目「スカ」をcanisと称していた、とも。
Franco Guillermo Mazzanti, Alla scoperta di storia e segreti di una serie di intriganti oggetti para numismatici, le spintriae della prima età imperiale con scene erotiche:2022/2/2(https://www.cronacanumismatica.com/cli-speciali-di-cn-spintriae-le-tessere-erotiche-dellantica-roma/)
社会人対象の読書会の準備でググっていたら、たぶん2016年の同じコンペの受賞グループの報告と、参加したあるグループのHPを見つけた。おそらく二,三十年あとのVia dei Fori imperiali周辺の風景はこんなになるのだろうなと思うのだが、残念ながら私には見ることできない「明日」の遺跡風景なのである。
このプロセスについての優れたブログをみつけた。今から7年前の投稿だが、学ぶべき事が多い。Jonathan Rome & Gretchen Van Horne「The Life and Death of Via dei Fori Imperiali: 1932-2015」(https://romeonrome.com/2015/02/the-life-and-death-of-via-dei-fori-imperiali-1932-2015/)。全文引用したいほどの内容だ。是非ご一読を。なお参考までに。最後あたりで登場するローマ市長イニャツィオ・ロベルト・マリーア・マリーノは、2013年から2015年10月30日までその職にあった。