3/11早朝に起きて、それなりに住みよかったポンペイのコンドミニオを後にする。私には未だよくわからない現金の宿泊税(ポンペイでは1泊2ユーロ)と鍵を室内において扉をしめれば、はいサヨウナラという仕儀。駅で巨大な荷物を持参するOG君と合流してからしばし、めずらしく周遊鉄道が定刻通りやってきた。
ナポリ駅で荷物を預け、地下鉄に乗り換えてカヴール駅経由で国立博物館へ。ビザンツ関係とかの展示会をしていたが、大枠展示に変わりばえなし。ここも、高校生とおぼしき集団がガイドないし引率教員に誘導されて多数群れていたが、その大多数の疲れ果てて無関心な顔つきを見ていると、どこも同じで、学校教育の限界について、久々に思い巡らされてしまったことだ。しかし思い起こせば、けっしていい生徒でなかった私が未だこんなことしているのは何故なのだろう。
その後どうなっていたか気になっていたアレクサンドロス・モザイクはまだ修復中で、その場所には合成布製?の複写がぶらさげられていた。
2時間の見学を終え、足の都合というわけではないが、地下鉄で博物館前から大回りしてナポリ駅(ガリバルディ)に移動。そのとき車内で面白いものを見つけた。ちなみにポンペイでは全く見かけなかったマスク姿をナポリではちらほら目撃していたが。
ナポリ駅2階で慌ただしく昼食をとり、イタロという別会社に乗るOG君と別れて、我らはFSに。と、まるで我ら二人の専用列車のおもむき。どうしてこんなに乗客いないのだろうと思っていると、ときどき停車もするし、それで行きのFrecciarossa(1時間強) と違って2時間ちょっとのIntercityであることを知る(あとから家族連れ数名が乗ってきて、よりによって我らの横列に座るんだなあ、これが)。
テルミニからピラミデ経由でリド線に乗るが、3年前の未使用の乗車券が使えたことはダメ元だったので、ありがたさと同時に意外感あった。車内にはナポリと比べ一段とマスク姿の、特に老人がぼつぼ目に付いた。通い慣れたオスティア・アンティカ駅を通り過ぎ、チェントロ駅で下車すると、予約したOK君は今回の宿舎は駅の直ぐ裏ですと簡単にいうが(実際に裏の線路脇なんだけど)、そこをめざして重いスーツケースを引きずって線路の陸橋を超えてまた下るのは、今の私には一苦労で、彼に助けてもらうしまつ。75歳、老残である。
着いた場所はコンドミニオ群といったほうがいいような、規格化された新しめの4階建ての建物群で、その前で待っていることしばし、OK君から連絡受けてやって来たのは、まれに見る上品な初老のご婦人だった。古代ローマ史でマトロナと呼ばれる「既婚婦人」もかくやという印象。しゃ、写真を撮ればよかったなあ。その彼女が手に持った携帯を我らに差し出す。見れば日本語で「身分証明書をみせていただけますか」とか「それを写真にとっていいですか」の文章が。ここまでグーグルの翻訳が活用されているとわ! ローマの宿泊税は一人3.5ユーロ/日。ここはそれが前払いだった。ただ契約したOK様いわく、ここの借り上げ費は安く、日本円で一日一人当たり4000円ちょっとなのだ、と大いばりなのである。とまれ内装も小綺麗で清潔感にあふれ、年金生活者にやさしいので感謝です。簡易ベッドを含めれば4-5名は宿泊可能とみた。
チェントロ駅の前には大型のスーパーがあるのは知っているが、疲れているので、こちら側の街を歩き、アリメンタリイと小さな売店をみつけ、とりあえず前者でパンとトイレ紙、宿舎に近い後者で水・ビール等を買う。後者はモロッコさん風の店員が、いちいち電話で値段をボスに聞いていたようで、察するににわか仕立ての店番か。
そのあと、これまで中華料理を連呼してきたOK君に引きづられるように、陸橋を越えてチェントロに出る。以前滞在していたことのある宿舎への道だったので見覚えある通りで、繁盛している寿司屋を横目に、たどり着いた店でまず見せられたのがやたら大きく拡大されたバーコードで、なぜかメニューと一緒に持ってこられる。OK君が聞き取った説明はバーコードが英語版のよし。しかしここでも注文は口頭。あと、支払いもクレジットが主流とみたが、我らは現金。
家に帰れば、シャワーを浴びる気力もなく私は爆睡するのであった。
【追記】今回の2箇所のコンドミニオの台所で気になったのは、電化製品の普及である。今滞在中の台所の写真をみよ。
偶然だろうが、ヤカンはポンペイもまったく同じ銘柄だった(そこには電子ヒーターはなく、ガスだったが)。後から気付いたのだが、下には自動食器洗浄器と、レンジ・オーブンも付いていた。しかしこの家にはマッキネッタがないのには、畏れ入った。カプセル買わないとカフェも飲めないとは。ちなみにこの機械(LAVAZZA A MODO MIO)、後から調べたら、どうやら日本では未発売のようで、ちゃちな作りの割には1万7千円はするしろもの。泡立ちがよくてバール並みのコクなのでついほしくなるのだが、日本の水でははたしてどうだろうか。練馬の自宅ではわざわざデロンギのを買って使っているが、味は全然駄目なのである。犯人は軟水のせいというのが私の見立てだ。
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