我が国では正月元旦早々能登沖で地震が発生したが、偶然地震がらみの情報が2週間前に届いていた。
2023年12月14日 :https://www.vrt.be/vrtnws/en/2023/12/14/pompei-marble-discovered-flanders-house-wall/
1975年にポンペイから盗まれた西暦62年の地震を描いた重要な大理石のレリーフが、ベルギーのヘルツェレ Herzele のある家の階段の壁に貼られているのが見つかった。
家主で当年とって85歳の Raphaël De Temmerman 氏は、1975年に家族でイタリアに旅行し、ポンペイを訪れていたとき、みやげ物を売りたいという男に声をかけられた。彼は大理石の板を見せ高額を吹っかけてきた。現金と品物を手早く交換すると、売り手は立ち去った。
自宅に戻った一家は、その記念品を家の壁にはめ込んだ。それは50年以上もの間、昨年初め家が売りに出されるまでは、誰からも注目されることなく飾られていた。85歳になった Raphaël 氏がアパートに引っ越すことになり、息子のゲルト Geert 氏は興味本位でこの大理石の価値を調べてみることにした。
Tongeren ( Limburg ) のガロ(ガリア)・ローマ博物館の専門家は、この大理石のレリーフは、1975年7月14日にポンペイ遺跡の銀行家 L.カエキリウス・イクンドゥス L. Caecilius Iucundus (V.i.26)の家のアトリウムにあった家庭祭壇 lararium から盗まれたものであることを確認した。https://archaeologyunearthed.quora.com/Stairway-decoration-in-Belgian-home-found-to-be-long-lost-Pompeii-artifact-Raphaël-De-Temmerman-80-and-his-son-Ge?ch=1&oid=140189318&share=6c393ab5&target_type=post
問題の大理石平板には、紀元62年のポンペイ地震の場面が描かれていて、それはもともと二枚あった。そのうちの一枚は現在は2016年に新装なったポンペイ遺跡内の Antiquarium に展示され、昨年の夏の訪問時にも私はそれを見学している(https://www.pompeiiinpictures.com/pompeiiinpictures/R8/8%2001%2004.htm)。
これらの石板についてはこのブログでもかつて多少詳しく触れたことがある(2022/1/19:https://www.koji007.tokyo/wp-admin/post.php?post=25020&action=edit)。それは2022/1-4に東博で開催された「特別展ポンペイ」関連での書き込みだった(https://www.koji007.tokyo/wp-admin/post.php?post=25147&action=edit)。
当然、イタリアはレリーフの返還を求めるはずで、まずはポンペイの専門家たちが確認に向かって真贋を判定することになる。一方、デ・テンメルマン氏は、イタリアのいくつかの法律に違反して持ち出したけれど、少なくとも50年間その略奪品を安全に保管していたと主張して補償を要求するらしい。
やっぱり現物の写真は鮮明である。いずれにせよ、両板が並んで展示される風景を私の生存中に見ることが可能になることを期待している。
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