今から4年前になるのだろうか、小学4年生の小森日菜子ちゃんが筑波の国立科学博物館の収蔵庫見学イベントに参加して、目に留めた剥製でビビッときた。それは山犬の一種と分類されていたようなのだが、絶滅したニホンオオカミではと。
世界で6体目となるニホンオオカミの剥製は、こうして小学4年生の直感で再発見されるきっかけとなった。
いうまでもなく、国立科学博物館といえば職員に研究者で溢れているわけなのだが、実際問題として彼らが収蔵物のすべてに熟知しているわけではない(研究者よりもベテランの収蔵担当職員の方がよく知っている場合すらあるのは、牧野富太郎氏を思い出せばいい)。専門家とは狭い分野を熟知しているにすぎない。小森嬢が問い合わせたメールが契機となって貴重な6体目の剥製が確認されたわけだ。色んな経緯があって放置されていたらしいが、得てして当事者が退職した後の収蔵物って忘却され、いずれ廃棄に結びつく運命をたどり勝ち、と言う体験が私にもある。
彼女の疑問を拾い上げて地道な調査をした施設職員のお手柄でもある。
我々としては,今回の僥倖の背後で忘却・廃棄されてしまった無数の標本の存在に思い至らねばならないはずだ。
【追記】2024/8/11発のYahoo!ニュースで詳しい記事が載ったので紹介しておこう。たぶん夏休みの自由研究がらみだろう。
「夏休みの自由研究が、世界的発見へ――ニホンオオカミの論文を書いた小学生の探究心」(https://news.yahoo.co.jp/articles/864693e14375f4448a980ae851c648e5a441e636)
娘の関心につきあって頑張った親が一番大変だったように感じた。
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