https://www.wantedinrome.com/news/rome-reconstructs-colossus-of-constantine.html
2024/2/6発信:
復元巨像製作中のスナップ
昨年ミラノで開催されたプラダ財団後援の展示会「the Recycling Beauty exhibition」で3Dモデリング技術を使って再現展示された、高さ13mのコンスタンティヌス帝の巨大座像の現代復元作品が、聖年までの約2年間、本家本元のローマのカピトリーニ博物館内のVilla Caffarelli中庭に展示されることになり、2/6にローマ市長Roberto Gualtieriも出席して除幕式が行われた。見学はこの2/6から聖年終了の2025/12/31まで、毎日9時半から19時半まで自由にできる由(https://www.museicapitolini.org/en/node/1013978)。
新バシリカ遺跡の赤印がもともとの設置場所:フォロ・ロマーノの北東部
オリジナルの巨像は、312-315年頃に大理石と金メッキの青銅で作られていたが(その部分はレンガの芯と、おそらく金メッキの青銅で覆われた木の骨組で構成されていた由)、体に巻かれた青銅を求めて略奪・破壊されて、1486年にマクセンティウスの新バシリカの発掘中に残された大理石破片9つが再発見され、サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ宮殿に露天収容されていた。それらは、教皇シクストゥス 4 世による世界初の公立博物館への古代ローマの作品の寄贈の一環として、16世紀半ばにカピトリーニ博物館のパラッツォ・デイ・コンセルヴァトーリの中庭に移された。10番目の断片がみつかったのは1951年のことだった。
コンセルヴァトーリ宮中庭の巨像断片展示状況
それがコンスタンティヌス像だということは19世紀まで不明だったが、もともとの額が高く、ひげを生やした人物(神像)から、ウェーブかかった前髪のある頭髪や顎髭があったものがきれいに剃られ、だが再加工の痕跡の調査等に基づき、ユピテル神像ないし別の皇帝像からコンスタンティヌス大帝像に再利用されたものと考えられている。
顎髭のある像:左、ユピテル神座像、もじゃもじゃ顎髭;右、オスティア出土のマクセンティウス立像、うっすら顎髭がみえる
私的には、コンセルヴァトーリ宮中庭に残存断片と並べるか、もともとの設置場所の新バシリカに展示してほしいと思うのだが、現況にしても中庭にしても新バシリカにしても現状では露天なので、風雨の中で持つのか大丈夫なのかと少し心配である(復元は、まず現存する像の破片 10 個を超高解像度でスキャンし、そのデータで全体像の3D モデルを作成し、アルミニウムの支持体上に樹脂・ポリウレタン・大理石の粉末・石膏・金箔を使用して材料の再構築をし、軽量でありながら視覚的に正確な巨大なオリジナル像のレプリカを作成)。無事なうちに是非とも見学に行きたいものだ。
オリジナルでは白大理石による裸体部分と、青銅からなる金茶色部分の衣服の組み合わせだった:巨像右足元の人の身長から巨大さを思い知るべし
いずれにせよ、これでようやくこの巨像の巨像たる所以を皆さん実感できるようになるであろう。できうれば、コロッセオ近くに立っていたネロの巨像も実物大で復元してほしいものだ。現代彫刻の変なオブジェを飾るよりはよほど意味あると思うのだが。